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ちかばのモノ語り ある勉強机のこと

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ちかばのモノ語り
第五話 ある勉強机のこと


「やあ、久しぶり。どうしてたんだい」
そんな言葉をかけそうになった。
和楽舎に置いてあったこの勉強机を見たときのことだ。
親父からお下がりでもらった机になんとなく似ていた。
中学生の時だった。そろそろ勉強に身を入れなくてはならなかった頃に、突然譲ってくれたのだ。
いつも夕食後にこもっていた自分の部屋も譲ってくれた。
ありがとうと言ったかどうかは、もう覚えていない。
遠い昔のことだ。

古い物に出会った時、懐かしさを感じる時がある。
その物のなかを流れてきた時間と、自分のなかの時間が共鳴を始めるからだろうか。
その勉強机には所々に傷があり、ニスの塗りが薄くなっているところもある。
よく使い込まれているということだ。
触れてみた。 この机の前でどんな喜びや、哀しみや決意があっただろうと想像してしまう。
木は伐採された時に一度死ぬ。だが生活の道具に加工されて人々の中で使われていくうちに
もう一度生命を取り戻す。
人と時間を共にすることで、様々な記憶や情景や感情を吸収して独特の風合いをかもし出しはじめる。
単なる製品でしかなかったものが、唯一なものになっていく。

引き出しを開ける時、すっと普通に動いたのには驚いた。
当たり前のことだが、その辺りは和楽舎の辰巳さんの手が入っている。
実用には何の問題もない。道具は使われてこそのものだ。古さを眺めていても何も生まれない。
生活を共にすることで、物と自分の時間は掛け合わされて、もっと豊かなものになっていく。
古い物には、そういうところがある。

●写真は、マッチョな勉強机 ¥24,000(税込)



レトロ家具と世界の雑貨
和楽舎
マッチョな勉強机
営業時間9:00〜19:00頃
定休日不定休
住所 奈良市歌姫町1025(地図
電話番号0742-31-3451
ホームページhttp://www.warakusha.jp/
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