グラスルーツ



庭づくり:愛でながら、見せながら、隠すという賢い方法。

庭をつくる人
グラスルーツ 石本より子

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一本の木からでも
庭づくりを始めることはできる。


庭のない家は、
まるで裸でうずくまっている人のように見える・・・。
グラスルーツの石本より子さんの話を聞いているうちに、
そんな想いがぽっと浮かんだ。
「一本の木があるだけでもいいんです。それだけでも家の見え方がまるで違ったものになります」
そんな言葉だったように思う。
家をやっとの思いで建てた。さて今度は庭だという段になって予算はもう尽きている。そういうことが多いのだとも聞いた。 たしかに開発されたばかりの住宅地を歩いていると、あちらこちらで家たちが寒さに震えているように見えなくもない。

さてその庭のことだ。
家は建てながらそこに住むということはできないが、庭の場合は住まいながら徐々に造っていくことができる。
まずは一本の木を植えることから始めてもいいのだと石本さんは言う。
余裕ができたらその木のそばに花を植え、さらに草をあしらうことで、ゆっくりと庭は姿を変える。
四季という繰り返される時間と、生長という流れいく時間が掛けあわされて庭はさらに美しさを増していく。 一年後とか、二年後とか、三年後とか、そんな時間の向こうのことを考えながら、じっくりと進めていくのが庭造りのコツなのだそうだ。
「だからと言って今の庭が未完成であっていいわけではありません。美しい庭になるまでしばらくの間我慢するなんて良くないですね。最初は一本の木だけだったとしても、その景色としての美しさをどうやって引き出すか。その時、その時の庭の美しさも、すごく大事なことだと思っています」
十年後に素晴らしい庭になったとしても、それまでの九年間がじっと我慢の子だったとしたら、あまり楽しいとは言えないねということなのだ。

あなたの庭は、
あなた自身がつくるもの。


なるほど。やはりプロにお任せするのが一番ということですね。そう言うと石本さんは首を横に振った。
「任されて私たちがどんなに素晴らしい庭を造ったとしても、それはあなたの庭ではありません。そこにあなたの思いが少しも入っていないし、あなたの生活を何も反映していないからです。あなたの家の庭は、あなた自身が造るものです。様々な専門知識や経験を生かしてそのサポートをする、それが私たちの仕事です」
あなた自身が造る・・・? だけどどんな庭にしたいのか、誰しもが明確なプランを
持っているわけでもないでしょう。
「そうですね。だから色々とお話しをうかがいます。まずお好きなお店や風景についてお尋ねしますね。
どんな場所に居心地の良さを感じられるのかを知るためです。またいくつかの施工例を見てもらい、お好きなタイプを探っていきます。それに住宅地では避けられない隣近所の気になる視線を上手に避ける方法などもご提案することができるのですが、そういうことはその家に実際に住んでいる人でないとわからないことです。そこまで話してもらえるようになれば、ご満足いただける庭になると思うんです」

庭には見て楽しみ、見せて喜ぶというだけでなく、外からの視線を上手に遮るという役割もあるということを初めて知った。
視線を遮るだけなら塀を建てればことは済む。だがそれではいかにものぞくなと言っているようで、具合がよろしくない。
視線の高さあたりの木をいくつか並べてさりげなく隠す。
庭にはそんな効用もあるということだ。実際に外から見えないようにするというわけではなく、外からの視線を気にしないで済むようにするということがポイントのようだ。
「そういう話って、打合せの最中には出てこないもんなんです。休憩の時とかのふと気の緩んだときにポツリと出てくる。でもそれが結構重要なことであったりして、それで庭の構成をがらりと変えていくというようなこともあります」
愛でながら、見せながら、隠すということも考える。
ただ美しいだけではいい庭とは言えないということのようだ。

様々なことを話し合うことが、
いい庭をつくるための大切な一歩になる。


色々と話し合うこと。とにかく何でもいいから、自分が考えていること、感じていることを話し、相手の言葉に耳を傾けることが大切のようだ。
前頁に掲載している建築家や工務店の人を取材した時も同じことを言っていたが、既製品ではなく、ワンアンドオンリーで自分仕様のものを一から作り出そうとするとき、その道のプロとがっちりとタッグを組んで進めていくとうまくいく。
だがそれは分かっていても、お金のことや相手の評判、長い付き合いになるのなら相性のことなど色々考えてしまうのもまた人の常だ。
メニューなどがあれば、ほどほどの所にまず声を掛けるなんてことも出来るが、自分の家の庭を出来合いの中から選ぶわけにもいかない。

「私たちの仕事は、庭にどのような想いや考えを持ってらっしゃるかを聞くことからはじまります。ですからまずお話しを聞かせていただきたいんです。その上で相談に足る相手かどうかご判断いただけたらと思っています」
本を読んだり雑誌を見たり、ネットで調べたりするのも大切だが、それらはやはり一般論でしかない。
もしあなたが、あなたの庭を造りたいと思い立ったのなら、まずは石本さんのような専門家に声をかけてみよう。
あなたの思いのたけをぶつけてみて、もし何か感じることがあったなら、それからじっくり予算の話しをすればいいのだから。

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