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ピアノ、ピアノ、ピアノ!

(株)ムジカセゾン ピアノアカデミー&ピアノギャラリー
木田健氏

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そんなたくさんのピアノを
見たことがなかった。


瀟洒な建物の前に立っていた。
丹精こめられた季節の花たちがオフホワイトの壁を美しくトリミングしている。
だがこの辺りでは特に異彩を放っているわけでもない。
いわゆる高級住宅街の中の美しい一軒といった風情である。

ごめんくださいと、扉を開けた。
えっ・・・と声が出そうになった。玄関から見渡せるホールの中にピアノがずらりと並んでいるのだ。それもほとんどがグランドピアノ。さて何台あるか。
一軒のお宅にお邪魔したつもりが、ピアノの博物館に迷い込んでしまったような感じだった。軽い空間失調に襲われる。
螺旋階段を(なんと螺旋なのですよ・・・)とんとんと軽やかに降りてくる足音がして、銀灰色長髪、中年太りとはまるで縁がないという体つきの御仁が現れた。
木田さん、ここムジカセゾンのオーナーであり、総帥である。

その場所は、
ピアノへの情熱で溢れかえっていた。


「ピアノの製造以外なら、ピアノに関することは全てここに揃っています」
ピアノの販売、ピアノの修復と整備、ピアノ調律、そしてピアノ教室。それぞれの分野ごとで活動をしている会社やお店や個人はあるけれど、それらを一手に引き受けている所となると・・。「まあ、うちぐらいでしょうね」
木田オーナーはこともなげにそう言った。
またなんでそんな事業を、と問いかけてやめた。
愚問のように思えた。
ピアノでみっちりと満たされた空間を見ればわかるような気がした。
とにかくピアノが好きなのだ。
ピアノに関わることなら何でもしたいという情熱がある年月重なったら、こうなった。
そういうことなのだと勝手に理解した。

並んでいるピアノを見せてもらった。
スタインウェイのピアノが多い。
しかもピアノに描かれているロゴが微妙に異なっている。
作られた年代が違うのだ。それも相当に。
スタインウェイの歴史がここに並んでいると言っても過言ではなさそうだ。
「某国の王室からはるばるやって来たのもありますよ」
木目が美しいピアノを指差して木田オーナーがそう言った。
どうも美しく年月を重ねた、由緒正しき貴族ばかりが並んでいるようなのだ。
そのような方々に拝謁する機会はそうあるものではない。

ピアノ音楽というものへの、
オリジナルな視点。


「うちのピアノ教室では、一人の生徒にクラシックとジャズ&ポップスを同時に教えています」
ピアノ教室のことを尋ねると意外な言葉が返ってきた。
水と油とは言わないまでも、両者の壁は結構高いのではないだろうか。この二つのジャンルを同時に教えている教室なんてあまり聞いたことがない。
だが演奏の面でも、ピアノに関することならあらゆることをというオーナーの哲学はここでも貫かれているようなのだ。
「クラシックでは楽譜に基づいて演奏しながら譜面を読むというセンスを磨き、
ジャズ&ポップスではコード進行による音楽の自由闊達さやアレンジの楽しさを教えているんです」
クラシックの厳格さとジャズ&ポップスの伸びやかさ。
それらを同時に学ぶことによって、ピアノで音楽することの楽しさと深さを知ってもらうこと。
そこにムジカセゾンのピアノ教育の大きなテーマがある。

この四月にけいはんなプラザのメインホールで行われた発表会のビデオを見せてもらった。
三歳から八十四歳までの百人以上の生徒たちが順繰りに演奏する。
ピアノの発表会といえば、親か親戚でもなければ楽しめるものではないのだが、しばらくビデオを見ているうちに足でリズムを取っている自分に気づいた。
実に聞かせる。
お師匠様に日頃の成果をご披露するというような堅苦しさは微塵もない。
楽しい。
まるで趣向を凝らしたコンサートのビデオを見ているような気がしてくる。
華麗にはじまったショパンが、軽やかなボサノバに変奏されていくというような隠し味を随所に見せながら、
時間はあっという間に過ぎていく。
ピアノがただ上手だというだけではこうはいかない。
ムジカセゾンのピアノ演奏に対する考え方が、多くの言葉以上に伝わってきた。
ピアノを楽しんでいる人は、ピアノを楽しませてくれる人でもある。
そんなことをこのビデオを見ているうちにふと思った。

営業時間9:00〜21:00
定休日元日と二日
住所奈良市登美ヶ丘5-5-25 (地図)  駐車場あり
電話番号0742-48-0660
ホームページhttp://musicasaison.com/
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