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薬食カフェ ならやま茶館

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どうも最近ギスギスするなあと思われる方。
こんなカフェがあることを、ご存知?


薬食カフェ ならやま茶館
谷山鹿郎

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薬と食とカフェ。
妙な取り合わせだと思った。


入り口のドアの窓に「薬食カフェ」とあった。
薬を食べる・・・?そんなささやかな疑問が、
ならやま茶館に足を踏み入れた理由だった。
いまどき何かといえば薬の登場となる。
寒気がする。熱がある。胃が重い。よく眠れない。
サプリメントとやらも加わって錠剤やらカプセルやら顆粒の
ものなど、何種類もの薬を一気に飲み下す人もいるようだ。

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だからついに「風邪気味のあなたへ、錠剤とカプセルのテリーヌ」
とか「頭痛持ちのためのロキソニンをまぶしたムニエル」
といったメニューを揃えた奇天烈カフェの登場かと、
ふと思ったわけである。当然、まさかなのだった。
現れたのは眼鏡をかけた物静かな人だった。
それがならやま茶館のオーナーであり、
料理人でもある谷山氏だった。
「薬膳といった方が通りはいいのでしょうが、なんだか
あちらこちらで使われて手垢にまみれていそうなので、
それで薬食カフェという名にしたんです」
谷山氏はそう語りはじめた。

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ヘルシーフード・・・?
それも、ちょっと違う気がする。


薬膳というのは、「個々人ごとに異なる体質や臓器に適した
食物をどのように摂ることが効果的かを予防医学の見地に
立って考えた食養生のための料理」というようなことが、
ウィキペディアに書いてある。
つまりは腹を満たすためとか、舌を喜ばせるための
食事ではなく、健康を保つための料理のことのようだ。

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ということは、朝鮮人参とか冬虫夏草などという
漢方薬みたいな材料を使う食事ということですか?
「いえ・・・」と谷山氏は静かに首を横に振った。
「そういったものではなくて、その土地で、
その季節にとれたものを食べることが、
そこで暮らす人々の身体の気の流れを整えることができる
という考えに基づいた食事のことなんです」
地産地消ってことですねと問うと、少し小首を傾げて
「身土不二(しんどふじ)と言ったりしますね」と答えた。
言葉は仏教用語のようで難しいが、要はその土地でとれた
旬のものを食べるのが身体によいということなのだ。流れが乱れたり、速すぎたり、遅かったり、
滞ったりする身体の気を、ちょうど良い流れに戻すと人は元気になるのだという。
気を元に戻すから、元気。なるほどそういうことなのかと、勝手に納得したりする。

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「天の気を呼吸し、地の気を食す」
心も身体もなだらかになっていく。


谷山氏は料理人であるだけでなく、気功の師でもある。
店の休みの日には人を集めて気功を教えている。
その現場も取材した。なんと二時間、延々と続く。
激しい動きはひとつもない。ゆっくりと身体を動かし、
筋を伸ばし、屈曲し、回転する。様々な動きがあるが、
要は深く呼吸し、新鮮な酸素を身体の隅々にまで
行き渡らせるための運動なのだと思った。

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「人間も他のいろんな生き物と同じで氣という自然界の
生命エネルギーによって生かされています。
呼吸によって天の氣を取込み、
食によって大地の氣を取込む。
食べるということは同じように氣を取込みながら
生きる動植物の命を頂くということなんです。
他の命(=氣)を頂くことで人間は自分の氣を調えて
生かされていくのです」そう谷山氏は言う。
つまりは気功も食も根ざすところは同じという
ことなのだろう。
「季節ごとに溢れる旬の食材たちはその時々の氣を調えてくれるものばかりです。
頭で考えたり、好き嫌いだけで判断せず、たまには自然の恵みに感謝をしながら
いただくことができれば身体も心もリセットできる食事になるかもしれません。
それがほんとの薬食だと思うのです」
煩悩と妄想と邪念にまみれた凡夫に、谷山氏はそう静かに語った。
意外や素直にこくりと頷いてしまう。
言葉もまた気を発するのだと、そのとき思った。

営業時間9:00〜20:30  (日曜のみ17:00まで)
定休日水曜日
住所奈良市右京1-3-1-3-112 平城第2ショッピングセンター (地図
電話番号0742-72-1168
ホームページhttp://narayamasakan.com/
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