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木津の八木邸 米蔵



八木邸の米蔵に、ドラムの音が鳴り響いた日。

木津の八木邸 米蔵

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あるところにタコ坊主がおりまして、何を思ったのやら路上にドラムセットを据え付けてタカタカ、トントンと叩いておりました。
そこに白眼鏡のオジサンが現れて、もしもし、君、君、そんなところで何しておるん?と尋ねたそうです。
タコ坊主は、ない髪を捜すように頭を掻きながら「れんしゅうです」と小さな声でこたえました。
「れんしゅう?練習?なんでまたこんなところで」と白眼鏡のオジサンは立ち入ったことを尋ねます。
自宅で叩けばうるさいと家人が怒鳴りますし、スタジオを借りればお金が消えてしまいます。だからしかたなく・・・。
タコ坊主は消え入りそうな声でそう言ったそうです。
すると白眼鏡のオジサンの心の中に長く眠っていた義侠心がむくりと目を覚ましました。
「そんなら、君、ええとこがあるで」
白眼鏡のオジサンは以下のように付け加えました。

「木津川市の某所に八木邸という由緒あるお屋敷があり、そこに米蔵がある。
そこで時おりコンサートなどが開かれておるのだが、そこなら心置きなくドラムが叩けるであろう。
八木邸の家主、西嶋楢寿氏とは懇意の仲じゃ。わしが頼んでやろう。嫌とは言うまい」。
嫌と言ったらどうするなどということは一顧だにせず、白眼鏡のオジサンは胸をポンとひとつ叩き、高笑いを上げながら去っていきました。
タコ坊主は深く頭を下げて、ポンポンとふたつほどドラムを叩いて見送ったそうです。


以上実話に基づくお話をちょっと童話風に。
タコ坊主がタイやヒラメに声をかけて竜宮城から大挙したわけではないのだが、タコ坊主こと常守晴美さんが音楽仲間に「こんな話があるねんけど・・」と伝えたところ、ええの、ええの、面白いの、ということで音楽集団ケーズエナジーの面々が五月のある日、八木邸に参集することになった。
リーダーでピアノの岩井啓二、ギター若林賢、そしてヴォーカルで紅一点のMAMI JYO。そしてドラムスの常守晴美。
彼ら四人は八木邸の米蔵にどやどやとやって来て、がちゃがちゃとセッティングをはじめ、音楽が流れだした。


なにより、かにより二百年を誇る八木邸の米蔵の古い木材たちが驚いたのは、常守ドラムが叩きだすそのビート。
太鼓どもの重低音からシンバルが打ち出す高周波に至るまで、二百年前よりつい昨日まで聞いたこともない音だったものだから、腸捻転を起こしかけ、ざわざわみしみしと土壁も震えたのだった。
が、ふと見ると家主である西嶋翁が肩を揺らし、足でリズムをとっての上機嫌。
あれま・・・?と思ったかどうかは定かではないが、次第に響きが良くなっていったのを見ると、米蔵も彼ら四人の音楽を受け入れたようなのだった。
ジャズのスタンダードナンバーからアメリカンポップス、そして歌謡曲に至るまで、彼ら四人は心いくまで演奏を楽しんだようだった。ついには白眼鏡のオジサンこと森本茂氏がマイクを持って歌いだすなど、宴はドンドンヒャララとと進んでいった。


そして六月に入ってから西嶋さんと森本さんが友人知己に声をかけて、内内ながらもミニコンサートを開催した。
後半には有志による「お歌の披露」まであり、あわや八木邸、ヘルスセンターと化すかと危ぶまれたりもしたが、いつにない観客の乗りを鑑みると、これもまた八木邸の新しき波になるかもしれぬと思い直したりもした。
つまりは音楽を大人しく聴いているばかりではなく、自分たちも音楽に参加して楽しむ八木邸のひととき。
古いから、由緒があるから、美しいからと奉るのではなくて、八木邸を思い切り楽しんじゃおーという気分が、実は次の二百年に連なるエネルギーをこの屋敷に与えるのではないか、と思ったというわけなのだ。

夏はクーラーのない米蔵はさすがにこたえるから、しばらくはお休み。
だがこの秋にはまたもや色々なことが起りそうな気配がむんむんである。乞うご期待を。
そして我こそは八木邸の新しい歴史を刻む者と思われる方は下記の方にご連絡されたし。但し厳正にして辛辣、容赦仮借のない家主の審査があるので、そこのところはどうぞよろしく。

営業時間
定休日
住所京都府木津川市木津町内垣外105 (地図)  駐車場あり
お問い合わせ八木邸ご利用についての お問い合わせは、 木津川市役所 観光商工課
0774-75-1216まで
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