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ちかばのモノ語り クナーベというピアノのこと

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あるお屋敷に、あるピアノがありまして・・・
木津川市 八木邸

narayama

ちかばのモノ語り 第八話
クナーベというピアノのこと

米蔵のあるお屋敷として有名な木津の八木邸、その米蔵のひとつに一台のピアノが置いてある。
美しい木目が人目をひくそのピアノ。だがかつては見るも無残な姿を晒していた。
八木家当主の奥さんの母上が洋行の際に、旅の無聊を慰めるために共に旅をしたというピアノは、あの戦争の火で焼かれた。
美しかった化粧版は熱のために醜く腫れ上がり、まるで爬虫類の肌のようになってしまったという。
長い時が過ぎた。
ある日ある時、ある音楽家がそのピアノの存在を知り、さらにそのピアノを製造したメーカーの名を知るに及んで再生することを強く進言した。
クナーベ。アメリカで作られたピアノの中で、最も美しい音色を奏でると言われたピアノだった。
人がまるで歌っているようだと賞賛されたこともある。
すでにない当主に代わって八木邸を運営管理していた西嶋楢寿さんは、そのピアノの再生を、ピアノアカデミー&ピアノギャラリー・ムジカセゾンのオーナー木田さんに託すことになる。

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修復作業は順調に進み、1925年に作られたクナーベは2012年の今年、美しく蘇った。
かつて八木家の人たちの耳を楽しませたそのピアノは、今では地域の人たちを集めたミニコンサートで、その美しい音色を披露している。
ムジカセゾンや演奏家たち、それに個人の有志などが主催して八木邸の米蔵のひとつで度々コンサートを開いているのだ。
八木邸を運営管理する西嶋さんも、クナーベが気持ちよく歌うのを楽しむのか、そういう人たちにこころよく屋敷の一部を開放している。
クラシックあり、ジャズあり。ヴァイオリンと共に歌い、ウッドベースと共にスゥイングする。
人々は集い、音楽に耳を傾け、八木邸の古色のなかに安らぎを見いだす。
クナーベ。歌うように音楽を奏でるピアノと言われた。
八木邸の米蔵の中で、彼女は今日もまた新たな弾き手がやって来るのを静かに待っている。

■今後の八木邸でのコンサートの予定については、ムジカセゾンにお電話を。
 ムジカセゾン:0742-48-0660

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