ちかばのモノ語り 体にいいお茶のこと

beguru

ちかばのモノ語り
第三話 体にいいお茶のこと


お茶に緑のと紅いのとがあるのはご存知の通り。
それに青いのが加わる。
青茶、つまり烏龍茶の系統のことである。
烏龍茶なら茶色だろうとふと思う。だが呼び名が茶茶というようなことになって、昔々の絶世の美女の幼名のようでまずかろうということになったのか。いやいや中国伝来の言葉ゆえ、もう少し深い意味があるのかもしれない。

人間を半世紀以上も続けていると、あちらこちらにガタがくる。部品を交換というわけにもいかず、
騙し騙し、そろりそろりと進んでいかなければならないが、
最近とくに体温調節の機能が衰えはじめた。少し動くだけで体温が急上昇し、一向に冷めない。
汗が噴き出す。脇の下は濡れ雑巾のようになる。少し乾くと、臭いはじめる。
よろしくない。実によろしくない。すこぶる困る。
だから夏が嫌いになった。かつて夏は有頂天の季節だったが、
いまでは絶望と失意の季節になってしまった。
ひっきりなしにハンカチを使い、扇子の往復運動も激しくなるばかり。
オレはタコ社長か!
そんなふうに自分を罵倒しなければならない日が来るとは思ってもみなかった。
五月の末の暑くなり始めた日に、ならやま茶館に行った。すでに体はかっかぽっぽとしはじめている。
そこで上記のようなことをオーナーの谷山さんに訴えた。
「暑うてかないまへんのや」
谷山さんは涼やかに微笑み、いいものがありますと言い置いて静かにキッチンの中に入っていった。
しばらくすると透明の急須に入れられたお茶が出てきた。それが青い茶といわれる烏龍茶だった。
正確には凍頂烏龍茶。とうちょううーろんちゃと読む。頭のてっぺんまで冷やしてくれるお茶だという。
冷茶ではない。ホットで供される。
飲む。すると冷気が背骨を伝って一気に上昇し、頭頂よりぽんと音を立てて雪片が舞い散った・・・。
・・・なわけがない。もしそうなら脱法ハーブ茶だ。
ペットボトルのウーロン茶よりは、やや薄めの味。ほろほろと口の中を洗い、さらさらと喉を下っていく。
ほぉーとなにやら熱いものがため息のように出て、なんだか涼やかになったような、ならないような。
谷山さんは相変わらず涼しげに微笑み、深く低い声で効能などを話してくれる。
それがまるで深山でお坊さんの説教を聞いているかのようで、深沈とした冷気に包まれはじめる。
ありがたいことです。合掌して、また日盛りの中に出て行った。

●凍頂烏龍茶 400円(税込)

*谷山さんより、以下の補足のコメントをいただきました。
青茶(涼性)脾、肺
口の渇き、暑気あたりを鎮めて精神を安定させる
食べ飲み過ぎで溜まった老廃物を除く
油分を分解して胃のもたれを防ぎ、原肥作用をもつ



薬食カフェ
ならやま茶館
凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)
営業時間9:00〜20:30  (日曜のみ17:00まで)
定休日水曜日
住所奈良市右京1-3-1-3-112 平城第2ショッピングセンター (地図
電話番号0742-72-1168
ホームページhttp://narayamasakan.com/
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