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特集:鹿背山の人

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特集:鹿背山の人

鹿背山は不思議なところだ。
いつも車で混雑する24号線を越えて、木津の駅を横目に過ぎ東へ走る。
鹿背山というバス停の少し向こうを右折すると、空中にさし渡された縄が垂れ下がっている。
「かんじょ縄」というらしいが、それをくぐると空気が変わる。
光の具合が変わる。時間の流れが変わる。
ついさっきまでの喧騒が消えて、虫と鳥の声しかしなくなる。
里山の美しい風景がそこにある。奈良市内からでもほぼ30分ほど。
街中を抜けたと思ったらすぐそこだ。もう別の世界にいる。
鹿背山の風景とか歴史とか文化とかは、その場所に行って見て感じてほしい。
写真や文章なんかより、もっといろんなことが感じ取れるはずだ。
今号ではその不思議な場所、鹿背山に何度か通っているうちに知り合った三人の人たちを取り上げる。
人が土地を作り、その土地が人を作り上げていく。
今では極めて稀になってしまった人と土地との結びつきが、まだこの鹿背山には残されている。
そこに興味を持っていろいろとお話を聞いてみた。

京都府木津川市鹿背山 (周辺地図

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鹿背山にながく暮らすと、こういう手になるらしい。
柿を作る人 青木正昭   


かつて手と頭は絶妙なコンビだった。
手を器用に動かすことによって脳は飛躍的に大きくなり、容量を増した脳のおかげで、手はより高度な技を駆使できるようになった。
だがいつの間にか手と頭は離れ離れになって、互いにそっぽを向くようになった。
頭は頭のことしか考えなくなり、手は手のことで精いっぱいになった。
(以下本文に続く)

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お山のてっぺんにそのアトリエはあった。
彫刻家 水島石根(みずしまいわね) 

自分の想像の範囲の中に納まってしまうものなんか、
ちっとも面白くない。お里が知れて興ざめも甚だしい。
得体の知れぬものこそ、そう、どんなふうに回路が繋がればこんなものが出来上がるのかと思うようなものこそが面白い。興奮する。
(以下本文に続く)

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鹿背山焼をめぐる或る男の思い
鹿背山 森本助左衛門窯末裔 森本 茂


鹿背山にいる。
山々と田園風景が広がり、その緑の中に秋には柿山の柿色が鮮やかな点描となって青い空の下美しく広がる。
だがこの鹿背山の地で、かつてその青空に向かって黒々とした煙が幾本も立ち上っていたことがある。
登り窯が吐き出す煙だった。
(以下本文に続く)

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